欧州の2022ー2023シーズンが終了しました。
そんな中、迎える6月のキリンチャレンジカップ。
第1戦は、エルサルバドルと戦い勝利した日本。
今回の対戦相手は、ペルー代表です。
FIFAランク上では、日本(20位)とペルー(21位)と拮抗しています。
ペルーは、数日前にも韓国代表に勝利しており油断ならない相手です。
スタメン
試合展開
試合は、開始から両チームともにアグレッシブに入ります。
攻守の切り替えが早く、激しい展開です。
それでも、日本は徐々に両WGを中心に個の力で打開していきます。
試合は、経過とともに日本がペースを握っていきます。
前半22分、日本が敵陣内に押し込み、伊藤洋選手がミドルシュートを決めて先制します。
その後も勢いが増していく日本。
前半37分、自陣からのビルドアップを繋いで三笘選手がPA内に侵入。
三笘選手は、一瞬できたシュートコースを打ち抜き追加点。
日本は、2-0で前半を折り返します。
後半も手を緩めない日本。
後半62分に伊東選手・後半74分に前田選手が追加点を決めます。
試合は、終わってみれば4-1とペルーに大勝しています。
日本の課題はあるのか?:勝負の神様は細部に宿る by岡田武史
この試合は、日本が素晴らしかった。
攻守の切り替えの速さと選手個々の能力でペルーを圧倒しました。
日本からしてみれば、合格点と言えます。
楽しい試合を見れました。
2度目の森保体制の課題は、”ボール保持時の攻撃”。
この課題はどうだったのか確認していきます。
ペルーの守備システム:オーソドックスな4-4-2
日本の課題を確認する前に、ペルーの守備について触れます。
ペルーは守備時4-4-2で守ります。
4-4-2は、現代サッカーでも多くのチームが採用している王道のシステムです。
4-4-2は、バランス良く人を配置できるため、ゾーンDFしやすいのが特徴です。
一方で4-4-2にもシステム上の弱点が存在します。
4-4-2は、構造上3つのスペースが空いてしまいます。
- 2トップ脇
- 2トップの背中のスペース
- ライン間
→4-4-2最大の弱点。アンカーがいないから空きやすくなります。
日本は、上記3つのスペースを上手くビルドアップで突いて攻撃したいです。
4-4-2は、多くのチームで採用されています。
つまり、ペルー戦以外でも4-4-2の攻略は必須課題なのです。
日本のビルドアップ:どうやってファーストプレスを回避する?
ペルーの守備は4-4-2。
対して日本のシステムは、4-1-4-1です。
ビルドアップの目的は、いかに良い状態でアタッカーにボールを提供するか。
つまり、WG・CFに前を向いた状況でボールを渡せるかが鍵です。
まず、大事なのは敵の第一プレッシャーラインをどう攻略するかがポイントです。
ビルドアップは、第一プレッシャーラインを超えてしまえばボール保持側が圧倒的に有利です。
守備側は、リトリートするか陣形を崩すかの2択になります。
第一プレッシャーラインを超えれば、4-4-2最大の弱点であるライン間を利用しやすくなります。
ペルー目線で見ると、1トップ古橋選手に対して2対1の数的優位を作っています。
日本のビルドアップ時にマークが空いているのはGKとアンカーの遠藤選手。
日本はペルー戦で”疑似カウンター”、”偽シリーズ”など特殊な戦術を使っていません。
日本は、CBでボールを保持する場合に数的優位を作り出す必要があります。
なお、森保体制ではGKをビルドアップに参加させていません。
従って、遠藤選手が1列下りて数的優位を作ります。
しかし、遠藤選手にはパスコースがありません。
再び遠藤選手からCBにボールが渡り、最終的にはSBへの苦しいパスになってしまいます。
なぜ、数的優位を作ったのにビルドアップが上手く行かなかったのでしょうか?
中途半端な数的優位性:修正できれば日本進化の鍵
結論から言うと、遠藤選手の下り方に問題があります。
遠藤選手がCBよりも後方へ下りて、CBがPA幅に広がるべきです。
上図のように、ビルドアップができれば4-4-2の弱点である2トップ脇を利用できます。
2トップ脇を利用できれば、第一プレッシャーラインを簡単に超えることが可能です。
第一プレッシャーラインを超えてしまえば、守備側はリトリートするか陣形を崩すしかできることがありません。
この問題は、カタールワールドカップの時から修正されていません。
日本は、ボール保持時の攻撃を課題として取り組んでいます。
ビルドアップの目的は、アタッカーに良い形でボールを渡すことです。
遠藤選手の下り方が解決できれば、伊東選手・三笘選手へもっと良い形でボールを配球できるはず。
森保体制を継続したからこそ細部のこだわりを見たいです。
最後に:日本の攻撃陣はワールドクラス
ペルーは、決して弱くないです。
カタールワールドカップ南米予選でも、あと一歩で出場でした。
そんな相手に、日本の攻撃陣は特大のインパクトを残しました。
今季の欧州リーグを観てもプレミアリーグ・ラリーガ・ブンデスで主役級の働きをしています。
日本の選手は、すでにアジアでは収まらない存在になっています。
南米相手に、個のクオリティで圧倒できる時代が来るとは・・・
ひと昔前までは、欧州組は1~3人くらいでした。
よくアジアは急速に力を付けたと話がされます。
でも、日本の成長はそれ以上。
まだ早いけど、アジアカップ制覇は絶対ですよね!!!
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