【Jリーグ試合分析】 2022.5.18 浦和レッズ vs 横浜F・マリノス

アイキャッチ マリノス
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この試合は順位表の上では対照的な位置でした。マリノスとしては、選手層やチーム状況を踏まえると勝利をあげたいところです。対する浦和は、守備が堅いが攻撃が上手く行っていない印象です。しかし、浦和はユンカー・シャルク・モーベルクの外国籍選手の質が高いため警戒が必要です。

スタメン

試合結果

試合は前後半で両チームが極端に別の顔を見せます。
前半に調子が良かったのは、マリノスです。
マリノスは宮市選手が覚醒し、3得点すべてに絡み3-0で前半終了します。
後半は3得点取られた浦和が開き直ってアグレッシブに戦い、ユンカーがハットトリックで同点に。
試合は、まさかの3点リードをマリノスは守りきれずに試合終了。
マリノスは負けに等しい3-3の引き分けに終わります。

なぜ埼玉の惨劇は起きたのか

マリノスとしては、3点差を追いつかれる事態はまさに異常事態です。
チームの調子や勢いを削ぎかねない、緊急事態です。
サッカーは2-0は危険なスコアと言われ、3点差を付ければ安全圏内だとされています。
マリノスは前半で既に試合を終わらせていたのに、惨劇は起こってしまった。
なぜなのか・・・その原因を究明したいと思います。

失点シーン

1失点目

後半46分。惨劇はここから始まる。
マリノスは自陣深くのFKを高丘選手が前線にロングボール。
これを浦和の岩波選手が上手く収め、ハイラインの裏へ向けてロングボールを送ります。
そのボールに反応したユンカー選手が抜けて、ゴールを決めます。
このシーンは、マリノスの選手達の判断は正しかったのだろうか?
恐らく、後半開始早々に浦和が前に出てくると誰もが予想できました。高丘選手は後半開始早々にプレスをチームが受けるのを嫌って、ロングボールを蹴ったのだと考えられます。
後半開始早々の時間帯で浦和の修正点がわからない段階で、自陣深くにFKがあったのも不運でした。
実は、浦和は前半は1トップにユンカー選手で縦関係の位置にシャルク選手がいて、シチュエーションごとに2トップで横並びになる場面も多少はありました。
後半はシャルク選手が横並びの関係を作っていたために、角田選手が裏を抜かれたシーンで畠中選手がカバーできませんでした。
結論から言って、この判断は軽率だったと思います。まずは、マリノスはいつも通りビルドアップを丁寧に繋ぎ、相手の立ち位置を見極めるべきでした。そして、FKの位置です。FKの位置はボールとゴールの距離が遠く、GKが蹴ると正しいポジションに素早く戻れない状況だった。
マリノスは、自陣から大きくボールが蹴られると通常のチームよりもハイラインを引きます。
ハイラインを引くからには、GKがラインの後ろの広大なスペースを管理する必要があります。
失点シーンでは、マリノスのスタイルを貫けなかったことから始まり、広大なスペースをカバーするはずのGKが機能しなかったことが原因です。
もちろん、浦和の岩波選手のボールの質とユンカー選手の決定力は称賛に値します。

2失点目

後半80分です。
このシーンは浦和の岩尾選手から松尾選手、そしてユンカー選手にボールが渡り、ユンカー選手が落ち着いてゴールを決めます。
このシーンは恐らく、松尾選手はトラップミスだと思います。
しかし、マリノスは畠中選手が不用意に出ていきました。
ユンカー選手のマークを捨てて、中途半端に松尾選手に寄せてしまった。
ユンカー選手のシュートは素晴らしかったですが、CBが適切な判断ができずに、一番危険な選手をフリーにしてしまった。
不用意な飛び出しがなければ、ここまでの決定機になることは、なかったかなと思います。
少なくともユンカー選手にプレッシャーを与えられたはず。
それでも、ユンカー選手のシュートは素晴らしかったです。

3失点目

後半88分。悪夢の瞬間です。
このシーンは松尾選手と大久保選手がサイドで連携し、大久保選手がマリノスの選手二人を置き去りにしてクロス。それをユンカー選手が合わせて同点弾。
松原選手と吉尾選手の二人でボールを奪いに行ったにも関わらず取れなかった時点で、勝負は付いていました。浦和の勢いに負けてしまったけど、守備の局面で数的優位を生かせなかったことが失点の最大の要因です。

前半と後半の浦和の違い

浦和の前半の配置です。
特徴はシャルク選手の立ち位置です。
シャルク選手はユンカー選手との縦関係のポジションが多かった印象です。
時々、シャルク選手・ユンカー選手は横並びで2トップになりますが、頻度は多くありません。
マリノスのビルドアップ対策としては、CBにプレスは行かずサイドに追いやって、マリノスの攻撃を防ぎたかったような印象です。
しかし、小池龍選手の偽SBの複雑な動きで浦和のマークがズレていきます。
CBにプレスを掛けていない+小池龍選手の動きでプレスがかみ合わない状況が多くなります。
そして、マリノスの左サイドにスムーズにボールが流れていきます。
この流れに乗ったのが宮市選手です。
得点シーンを見ても、宮市vs小泉の関係で宮市選手が完全に1対1で優位に立っています。
マリノスの3得点目までは宮市vs小泉が何度もありました。
この宮市vs小泉は3失点目以降は宮市vs馬渡が多くなります
この変更も優位に運んだ原因です。

3得点を奪われた浦和は後半開始から完全にシャルク選手の位置をトップにあげた2トップにします。
2トップにしたことで、前半マリノスが比較的にフリーボールを持てたCBとの距離が近くなり、プレスを掛けやすくなります。さらに、数的優位性も同数になったのではないでしょうか。ユンカー・シャルクvs角田・畠中(前半はユンカーだけ)
そして、舞台は埼玉で3点を追いかける。
プレスは圧倒的に掛かりやすくなってしまった・・・・・・

マリノスの交代策

ここまでは浦和の得点シーン及び前半後半の立ち位置を見てきました。
マリノスは結果的に流れを変えられず、浦和の勢いに飲まれてしまった。
ではマリノスは何もしなかったのか・・・・
試合の展開を変えるのは、選手交代です。
今度はマリノスの選手交代が効果的だったのか確認してみましょう。

交代
  1. 69分(3-1)
    宮市→仲川
    渡辺→岩田
    水沼→吉尾
  2. 77分(3-1)
    ロペス→レオセアラ
  3. 81分(3-2)
    西村→マルコス

この試合は3回のタイミングで5選手を投入しています。

  1. 69分の交代
    一度目の交代で3人同時交代です。
    【仲川選手の投入】
    仲川選手の投入の意図は、宮市選手のマネジメントが含まれていると思います。宮市選手のケガを恐れての交代だと推察されます。交代後も仲川選手は何度かチャンスにも絡みました。守備の強度という面でも仲川選手の投入は妥当だと思います。
    【岩田選手の投入】
    岩田選手を入れた理由は、渡辺選手の疲労と守備の強度を上げたかったからです。試合は、浦和の勢いに飲まれつつありました。FKやCKでの渡辺選手は、身長の面から不利になります。同じタイミングで仲川選手が投入されたことも含めると、セットプレーでのリスクを減らしたかったんだと思います。岩田選手の対人の強さで守備強度を上げる采配は妥当だと思います。
    しかし、プラスだけではありません。渡辺選手がピッチからいなくなれば、機動力とビルドアップの質は下がります。この点を見れば、賛否両論あると感じますね。
    【吉尾選手の投入】
    結果的にこの采配は裏目に出ます。よって、”ようせい”は吉尾選手投入に関しては妥当ではないと評価します。吉尾選手は水沼選手と同じくRWGで投入されます。恐らく、マリノスはボール保持の質とサイドから、Aロペス選手の楔のパスの質を上げたかったんだと思います。
    しかし、吉尾選手は左利きです。吉尾選手がボールを受けると浦和のプレスを背中で浴びます。
    そして、吉尾選手と対面する浦和の選手は明本選手です。明本選手の対人の強さとフィジカル能力の高さは、Jリーグでも目立った存在です。吉尾選手は、浦和の勢いと明本選手により封殺されました。吉尾選手は効果的にプレーできず、3失点目にも絡んでしまいました。
    この交代策は明らかに失策になってしまった・・・・・・
  2. 77分の交代
    【レオセアラ選手の投入】
    ここはAロペス選手の疲労でしょう。さらにプラスで言えば、レオセアラ選手のプレス強度と裏への抜け出しに期待したと思います。レオセアラ選手は何度か決定機を迎えており、レオセアラ選手の投入は妥当だったと言えます。
  3. 81分の交代
    【マルコス選手の投入】
    前節フル出場していた、マルコス選手は温存したかったのではないかと思います。
    完全に”ようせい”の予想ですが・・・・
    恐らく、2失点目を喫してボールポゼッションしながら試合を殺すことと隙あらば追加点を狙った策だったと思います。大きな疑問もなかったため、マルコス選手の投入は妥当だったと評価してよいかと思います。


交代策は69分の吉尾選手の投入が裏目に出てしまった以外は妥当だと思います。
吉尾選手はもちろん素晴らしい選手です。プレスも惜しまず掛けて技術もあります。
しかし、対面した相手との相性とタスクが適切でなかった。

まとめ

同点になってしまった原因
  1. 失点はすべて、防げるミスから生まれた。場合によってはもう少し良い状況を作れた
  2. 浦和は1トップ気味から2トップにして活性化。宮市選手のマーカーを変更した。
  3. 吉尾選手投入が裏目に出てしまった。

以上の3つが大きな要因です。

最後に

サッカーはミスのスポーツです。
失点は紐解けば、だいたいはどこかでミスが発生しています。
今回は、前半3失点して心が折れなかった浦和を褒めたいと思います。
マリノス側のミスも取り上げましたが、ミスをたくさんしても勝てる試合は勝てます。
その不安定さと不確実性がサッカーの魅力です。

今回ミスを犯してしまった選手もマリノスサポなら知っての通り、素晴らしい人間性と素晴らしい能力を持った尊敬すべき人々です。
だから、期待しましょう。この大きな挫折も選手達は成長に変えてくれると!
目指すべき頂点は高い方がいい。
川崎はこういう試合で、ミスを犯しません。
川崎ができるならマリノスも到達可能です。
今回は結果をみれば、あくまでもアウェイで引き分けです。
最低限負けなかった。
優勝をあきらめるにはまだ早い。
首位川崎まで勝点差は4。
マリノスは追いかける方が強いぜ
またね٩(ˊᗜˋ*)و

DAZN
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