【試合分析】キリンチャレンジカップ2022 日本vsチュニジア

アイキャッチ 日本代表
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この試合は、非常に大きな意味を持つ重要な1戦でした。

カタールワールドカップのドイツ戦までの日程は、下記の通りです。

日程大会
7/19東アジアE-1選手権
9月国際親善試合2試合
11/23日本vsドイツ

東アジアE-1選手権は、国内組で戦うことになります。
登録メンバーは、9月の国際親善試合までには決定されます。
つまり、チュニジア戦は欧州組と国内組が揃って試合をする最後の試合。

選手にとっては最後のアピールの場であり、森保監督は残り少ない試合で本選を見据える貴重な試合でした。

スタメン

試合展開

両チームのシステムは、4-3-3です。
中盤もアンカー1枚の逆3角形の構成というミラーゲームです

試合は、開始からチュニジアが日本のビルドアップに対してしっかりとブロックを組んで対応しています。試合開始序盤から、チュニジアは日本をよく研究しているなという印象が強く感じます。
それでも、日本は何度かサイドを起点にチャンスを作りますが生かせず。
前半は0-0で終了します。
後半もチュニジアのブロックを前に、日本は決定機を決めきれません。
すると、日本はミス絡みから失点を重ねてしまいます。
終わってみれば、0-3の惨敗。

日本は、攻守において無策。
選手のアドリブの上で回っている不安定なチームということを改めて露呈してしまった。
ワールドカップに出場するレベルの相手に研究され、対策を取られると簡単に負けてしまう
それを思い知らされる結果となりました。

DAZN

試合のポイント

チュニジアの守備:監視される遠藤

上の図は日本のビルドアップに対してチュニジアが行ってきた守備です。
チュニジアが日本をよく研究してきたなという印象です。
吉田選手・板倉選手がボールを保持しているとき、チュニジアの1トップのヘニシに注目してください。
ヘニシは、CBにプレスせず遠藤選手をマークしていました。
遠藤選手を常に監視し、ビルドアップの際にボールが渡らないようにしています。
チュニジアは、日本のビルドアップ破壊のポイントとして遠藤選手を消すことを考えていました。
ヘニシが遠藤選手をマークして、他の選手達は中央を閉めてブロックを作ることを徹底しています。
チュニジアは日本のCBへの対応として、積極的にプレスにいかないとしています。
優先度は低いですが、CBへプレスする場合は吉田選手・板倉選手にインサイドハーフのサッシ・ロムダンがいきます。
その際、日本のインサイドハーフをカバーシャドウしながら寄せるという規則性を作ってプレスしています。

なぜ遠藤選手は狙われた:工夫のないビルドアップ 課題①

チュニジアのブロックは、日本のビルドアップに決まり事がなく規則性がないことを理解した守備の仕方だと感じました。
日本はビルドアップに関して、アドリブもしくは工夫がないため何度もビルドアップをするとほころびがでます。
そこをチュニジアに付け込まれた。
遠藤選手はすごく良い選手で、守備においてはワールドクラスの選手です。
しかし、日本代表においてはビルドアップ時にチームとしての規則性がないことで、効果的にポジション取りができないという問題があるのではないでしょうか。

日本代表のビルドアップでは、他チームがやっている以下のような工夫がありません。
例えば・・・
①CBがワイドに開き、アンカーがCBの間に入るか、CBの脇に下りて数的優位を作る
②アンカーへのマークがある場合は、自身のスペースを空けるため前線にマークをされるように移動し、空いたスペースを他の選手が利用する。
日本は、これらの工夫がなくCBからのビルドアップは常にマークがいるために安定性がありません。
CBは遠藤選手にパスをしたいけれど、ヘニシがマークに付いているため他の選択を取るしかない。
そして、パスコースに困ったCBは難しい選択肢をチョイスしてボールを失う。
このように術中にハマってしまったという感じでした。

鎌田選手の賢い動き:配置変えによって消える

実は前半開始から何度か鎌田選手がビルドアップに工夫を見せて、チャンスにつなげています。
日本はビルドアップ時に鎌田選手がCB脇に下りて、伊藤洋選手を押し上げました。
そこから、南野選手が斜めのランニングでサイドを攻略しています。
鎌田選手・南野選手ともに中央でのプレイを得意としています。
南野選手はLWGですが、中央に侵入します。
鎌田選手は、南野選手とポジションが被らないように工夫して動きながら、相手のマークをずらしていました。
しかし、選手の判断なのか、監督の指示なのかわかりませんが鎌田選手と原口選手の配置が入れ替わりこの攻撃は全く行われなくなります。
この時点で、鎌田選手の動きはチームとしての戦術ではなく、鎌田選手のアドリブだったと推測されます。
なぜ・・・配置を変えてしまったのか謎です。
この配置換えによって日本は、工夫のないビルドアップを繰り返すことになります。

日本のブロックやプレスについて:同じ絵を描けない日本 課題②

対する日本のプレスは、以下の構図が目立ちました。

相手CBがボールを保持している状況で、浅野選手が3対1の圧倒的な数的不利な状況でプレスにいきます。
かと思えば、別のシーンでは伊東選手・南野選手が浅野選手とプレスしたりと規則性がありません。
さらに、プレスにいく際もカバーシャドウを気にせず走るため相手はパスコースを確保できたままビルドアップができていました。
チュニジアは、ビルドアップ時には両サイドバックを高いポジションに上げて攻撃する形を主としていました。
日本のプレスは、無策のためチュニジアに対して狙った形でカウンターを打てずに終わっています。
※何度かアクシデントでのカウンターは、ありました。

森保ジャパンでは、発足時から個々のトランジッションは素早くできるものの統一性がありません
特にDF・MF・FWと局面ごとに連動性が感じられません。
例えばよく見られる事象として、相手CBに対して前線の選手は前からハメにいくけど、DFはライン設定が低く全体が間延びしている。
個々のポジションで観れば両方正解だと思います。
しかし、問題は全ポジションで選手が同じ絵を描けていないことです。

本当に勿体ない。日本代表の選手達のプレスがダメということはありません。
むしろ、南野選手はリヴァプールでもプレスに関して高く評価され、伊東選手・ベンチには前田選手とプレスが得意な選手は多いです。
きちんと整備されていれば・・・
この問題は、キリンカップだけでなくワールドカップ最終予選にも見られていて改善の兆しはありません。個人的には、現代サッカーの戦術の流れに沿ってハイラインを保ち、アグレッシブに戦って欲しいなと思います。

日本の交代策:修正できない日本 課題③

交代策に関しても疑問でした。
久保選手・堂安選手の投入で、日本の攻撃は極端に中央に偏って多くの選手がボールに密集してしまいます。
久保選手・堂安選手は、個人で打開できるしサッカーIQも高い天才ふたりです。
なのに、日本はこの交代策を機に一番守備の厚い中央にこだわってしまった。
それによって、チュニジアはブロックを組みやすかったかなと思います。
サイドを揺さぶって、三笘選手に良い状況で1対1を仕掛けてもらいたかったと個人的に思います。
中央でのこだわりは、森保監督からの指示なのか・・・選手達のアドリブなのか。。。
何らかの意図を持って交代策を投じたと思いたい・・・

最後に:ワールドカップ本戦は厳しい

ミス絡みの失点が続いたこともあり不安すぎる先行きです。

日本の課題は、攻守の局面において規則性がなく、選手が同じ絵を描けていないことです。
さらに、ピッチ上で起きたズレを修正できないベンチも課題と言えます
この試合で目立ったのは、下記3点です。←以前から問題になっている

  1. 攻撃ではビルドアップ時の工夫
  2. 守備では、どのようにプレスにいくのか統一性なし
  3. 試合の流れを修正できない

細かいところは他にも色々ありますが、特に改善が必要な課題です。


チュニジアと日本の選手のクオリティを比較しても、日本は劣っていると感じません。
しかし、しっかりと自分達のやりたいことを続けたチュニジアと、選手のアドリブでその場しのぎを続けた日本では明暗が分かれました
チュニジアは、確かに良いチームでした。
でも、日本が対戦するのはドイツ・スペインと世界のトップクラス・・・(プレーオフの結果、コスタリカとの戦いも決まりました・・・コスタリカのGKはナバスってヤバすぎる)
ワールドカップ本選まで欧州組を含めた実践は、直前の9月の国際親善試合2試合のみ。
物理的に時間がない・・・でも”ようせい”は選手達を信じている。
またね٩(ˊᗜˋ*)و

DAZN
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